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Case study

大津市・天窓の雨漏りと屋根カバー工法
― 屋根も天窓も太陽光も、一度の足場で

「天窓から雨漏りしたことがある」というご相談でした。天窓だけを直す方法もあります。けれど屋根そのものも傷んでおり、上には太陽光パネルが載っていました。どこまでを、どの順番で直すか。その考え方をご説明します。

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Overview

工事の概要

工事内容屋根カバー工法
天窓の取替(1か所)
太陽光パネルの脱着
建物スレート屋根の戸建住宅
(天窓2か所・
太陽光パネルあり)
使用材料金属屋根材「スーパーガルテクト」
ルーフィング「タディスホワイト」
樹脂製下地材「タフモック」
天窓:ベルックス「FS-M04」
施工時期・エリア2026年8月〜9月
滋賀県大津市

3行でわかる、この工事

  • 症状/天窓から一、二度の雨漏り。天窓の板金もはがれ落ちていました。スレート屋根も塗膜がはがれ、苔が広がっていました。
  • 診断/天窓だけ直しても、まわりの屋根が傷んだまま。太陽光パネルを外す手間も二度かかります。
  • 施工/パネルを外し、屋根をカバー工法で新しくして天窓も取替。パネルは端にかからない配置で載せ直しました。

Symptomご相談のきっかけ ― 天窓から、雨が漏れたことがある

大津市内の、スレート屋根の戸建住宅です。屋根には天窓(てんまど/屋根に取り付けた明かり取りの窓)が2か所あり、片側の面には太陽光パネルが載っていました。

ご相談は、大きい方の天窓から雨漏りしたことがあるというものでした。これまでに一度か二度、漏れたことがあるとうかがいました。

現地調査では屋根には上がらず、ドローンで屋根を撮影して状態を確かめました。そのときお施主様から、天窓の板金がはがれて下に落ちているとうかがい、ドローンの写真でもそれを確認しています。

実際に屋根に上がったのは、工事に入ってからです。天窓の外まわりの板金を外すと、その下側に、雨水がまわっていた跡が黒ずみや白い筋になって残っていました。天窓の枠は木製で、ここに水を吸っていたことになります。

あわせて気になったのが、屋根そのものの状態です。スレートは表面の塗膜がはがれ、黒ずみや苔が広がっていました。塗膜はスレートを雨から守る層で、これがなくなると屋根材が水を吸いやすくなります。

Diagnosis診断 ― 天窓だけ直すか、屋根ごと直すか

天窓の雨漏りは、天窓だけを取り替えて直すこともできます。ただ今回は、そうしませんでした。理由は二つあります。

  • 天窓は、まわりの屋根とつながって初めて雨を止めます。新しい天窓を入れても、取り合う屋根が傷んだままでは、その継ぎ目が次の弱点になります
  • 太陽光パネルを外す工事は、一度で済ませたい。屋根を直すには、上に載っているパネルをいったん外す必要があります。天窓と屋根を別々の年に直すと、足場もパネルの脱着も二度かかります

そこで、屋根全体を「カバー工法」で新しくし、その中で天窓も取り替えることにしました。カバー工法は、既存のスレートを撤去せずに、上から防水材と新しい金属屋根材を重ねて張る工法です。撤去する量が少ないぶん、工期と廃材の処分費用を抑えられます。

あわせて、ふたつ見直したところがあります。ひとつは太陽光パネルの配置です。施工前のパネルは、屋根の端(ケラバ/屋根の妻側のふち)ぎりぎりまで載っていました。屋根の端は風を受けやすい場所で、お施主様も気にされていたため、載せ直すときに配置を変えることにしました。

もうひとつは換気棟(かんきむね)です。換気棟は、屋根のいちばん高いところから、屋根裏にこもった湿気や熱気を外へ逃がす部材です。施工前は2mでしたが、足りているかを計算で確かめることにしました(このあと詳しくご説明します)。

Work施工 ― 目に見えなくなる部分ほど、手をかける

まず太陽光パネルと、それを支える架台を取り外しました。続いて既存の棟の板金を外し、スレートの上にルーフィング(屋根の防水材)「タディスホワイト」を敷き込みます。

雨を防ぐのは屋根材ですが、その下のルーフィングは、屋根材が年数とともに傷んだときに、雨水が下地の木に届くのを防ぐ大事な備えです。天窓のまわりは特に、ルーフィングを枠に沿わせて立ち上げ、隙間をつくらないようにしています。

その上に、金属屋根材「スーパーガルテクト」を軒先から張っていきました。軽い屋根材なので、既存の屋根に重ねても建物への負担が少なく済みます。

手間をかけたのは、棟と、外壁との取合い(水切り)です。ここの板金を留める下地には木材が使われることが一般的ですが、木材は入り込んだ雨水を吸うと年数とともに傷み、板金を留める力が弱くなります。今回は樹脂製の下地材「タフモック」を使い、雨水で腐る心配のない下地にしました。

天窓は、雨漏りしていた大きい方の1か所を、同じメーカー(ベルックス)の固定式の天窓「FS-M04」に取り替えました。もう1か所の小さい天窓は傷みが少なかったため取替はせず、まわりを新しい屋根材に合わせて納め直しています。

最後に、新しい屋根の上に太陽光パネル用の取付金具を付け、ケラバにかからない配置でパネルを載せ直しました。

Result結果 ― 一度の足場で、屋根まわりをひととおり

雨漏りしたことのある天窓は新しくなり、取り合う屋根も防水層から入れ替わりました。雨漏りの原因に、屋根ごと手を入れた形です。

太陽光パネルは屋根の端から離れた位置に収まり、換気棟は計算どおり4mに増やしました。

足場を組む機会は、そう何度もあるものではありません。天窓・屋根・太陽光をまとめて見て、いま直すべきところをお伝えする。それが私たちの役目だと考えています。

ご協力いただいたお客様、ありがとうございました。

Calculation

換気棟を、2mから4mにした理由

換気棟は「付いていればよい」ものではなく、屋根裏の広さに見合った長さが必要です。短すぎると湿気や熱気が抜けきらず、屋根裏の結露や、夏場の室温上昇の原因になります。

今回は、屋根の下にある天井の広さ(天井投影面積)から、必要な換気量を計算しました。

  • 天井投影面積:約80.75㎡
  • 換気棟1本(2m)で換気できる面積:約44.8㎡
  • 80.75㎡ ÷ 44.8㎡ ≒ 1.8 → 2本分(4m)が必要

施工前の2mでは、およそ半分しか足りていなかったことになります。そこで棟の換気口を4m分に広げてから、4mの換気棟を取り付けました。

完成すれば屋根の上の小さな部材ですが、こうした数字の裏付けをもって決めることを大切にしています。

Before / After

施工前・施工後

写真をクリックすると拡大表示します。

① 雨漏りしていた天窓 ― 同じメーカーの天窓に取替

雨漏りしたことのある、大きい方の天窓です。新しい屋根材とあわせて、まわりの板金も新しく納めました。

施工前
取替前の天窓。まわりのスレート屋根は塗膜がはがれ、苔が広がっている
取替前の天窓です。ここから雨漏りしたことがありました。
施工後
取替後の天窓。新しい金属屋根材との取合いを板金で納めている
取替後の天窓です。新しい屋根材との取合いを、板金で納めています。

② 棟まわり ― 換気棟を2mから4mに

屋根のいちばん高いところ(棟)です。施工前は2mだった換気棟を、計算に基づいて4mに増やしました。

施工前
施工前の棟まわり。スレート屋根に2mの換気棟が付き、片側の面に太陽光パネルが載っている
施工前の棟まわり。棟の上で一段高くなっている部分が換気棟で、長さは2mでした。
施工後
施工後の大屋根。スーパーガルテクトで張り替え、4mの換気棟と天窓2か所が見える
施工後の棟まわり。小さな穴が並んでいる部分が換気棟で、4mに増やしました。施工前の倍の長さです。

③ 太陽光パネル ― 屋根の端にかからない配置へ

施工前は、屋根の端(ケラバ)ぎりぎりまでパネルが載っていました。お施主様とご相談のうえ、屋根面の上にしっかり載る配置に変えています。

施工前
施工前の太陽光パネル側の屋根。パネルが屋根の端ぎりぎりまで載っている
施工前。パネルが屋根の端ぎりぎりまで載っていました。
施工後
新しい金属屋根の上に、ケラバにかからない配置で太陽光パネルを設置し直した様子
新しい屋根の上に、ケラバにかからない配置で設置し直しました。
掲載写真は、お客様の同意をいただいたうえで公開しています。
Process

カバー工法の工程

仕上がってしまえば見えなくなる部分ですが、屋根がどれだけもつかは、この段階で決まります。

既存の棟の板金を取り外したスレート屋根の棟
1.既存の棟板金を外す
スレートの上に重ねて張るため、まず棟の板金を取り外します。
既存のスレート屋根の上にルーフィング「タディスホワイト」を敷き込んだ状態
2.ルーフィング(防水材)を敷く
既存の屋根の上に「タディスホワイト」を敷き込みました。屋根材の下で、万一のときに雨水が下地に届くのを防ぐ層です。
天窓の枠に沿わせてルーフィングを張り込んだ屋根面
3.天窓のまわりの防水
天窓のまわりも、ルーフィングを枠に沿わせて張り込み、雨水が入り込まないようにしています。
ルーフィングの上に、軒先からスーパーガルテクトを張り進めている途中の屋根
4.スーパーガルテクトを張る
右側の面は、金属屋根材を軒先から張り進めているところです。
大屋根の棟に樹脂製の下地材タフモックを取り付け、中央に換気口をあけた状態
5.棟の下地に「タフモック」
樹脂製の下地材を取り付けたところ。棟の中央が、4m分に広げた換気口です。
下屋根の棟と外壁との取合いに、樹脂製の下地材タフモックを取り付けた様子
6.外壁との取合いの下地
下屋根の棟と、外壁との取合い(水切り)の下地にも、タフモックを使っています。
外壁との取合いを板金の水切りで納めた下屋根の仕上がり
7.下屋根の仕上がり
外壁との取合いは、板金の水切りで納めています。
Skylight

天窓の取替

新しい天窓は既存の枠より少し高い位置に納まるため、お施主様にご確認いただいたうえで、室内側に白い見切り材を入れて高さを合わせています。

既存の天窓の外まわりの板金を外し、木製の枠があらわれた状態
1.外まわりの板金を外す
既存の天窓の板金を外すと、木製の枠があらわれました。
天窓の下側に、雨水がまわっていた跡が黒ずみや白い筋になって残っている
2.雨水がまわっていた跡
天窓の下側に、黒ずみや白い筋になって残っていました。
既存の天窓を撤去し、開口部に新しい下地を組んだ状態。室内側はビニールで養生している
3.開口部に新しい下地を組む
既存の天窓を撤去し、新しい下地を組みました。室内側はビニールで養生しています。
室内から見上げた取替後の天窓。白い見切り材で高さを合わせて仕上げている
4.室内から見た仕上がり
天窓と室内のクロスとの間は、白い見切り材で高さを合わせています。
取替をしなかった小さい方の天窓。新しい屋根材に合わせてまわりを納め直している
もう1か所の小さい天窓
傷みが少なかったため取替はせず、新しい屋根材に合わせてまわりを納め直しました。
Solar panels

太陽光パネルの脱着

太陽光パネルを取り外し、架台が残っているスレート屋根
パネルを取り外したところ。支えていた架台が残っています。
太陽光パネルの架台も撤去したスレート屋根
架台も撤去しました。
新しい金属屋根の上に、太陽光パネル用の取付金具を並べて取り付けた様子
新しい屋根材の上に、パネル用の取付金具(D-SWATⅡ)を付けました。
About this work

この工事について、よくいただくご質問

天窓の雨漏りは、天窓だけ交換すれば直りますか?

天窓そのものが原因で、まわりの屋根が健全であれば、天窓の交換だけで直ることもあります。

ただし天窓は、まわりの屋根や防水材とつながって初めて雨を止めます。屋根材が傷んでいたり、近いうちに屋根の工事が必要だったりする場合は、今回のように屋根とあわせて直すほうが、継ぎ目の弱点が残らず、足場代も一度で済みます。

太陽光パネルが載っていても、屋根の工事はできますか?

できます。パネルと架台をいったん取り外し、屋根を直したあとに設置し直します。今回のように、載せ直すときに配置を見直すこともできます。

パネルの脱着には手間と費用がかかるため、屋根の工事は一度にまとめるのがおすすめです。

カバー工法とは何ですか?

既存の屋根を撤去せず、その上に防水材と新しい屋根材を重ねて張る工法です。撤去する量が減るぶん、工期と廃材の処分費用を抑えられます。今回のスーパーガルテクトのような軽い金属屋根材を使えば、建物への負担も少なく済みます。

ただし、屋根の下地まで傷んでいる場合はカバー工法に向きません。屋根に上がって確かめたうえでご提案します。屋根工事のご案内もあわせてご覧ください。

換気棟は、どの家にも必要ですか?

屋根裏に湿気や熱気がこもると、結露による下地の傷みや、夏場の室温上昇につながります。換気棟は、それを防ぐための部材です。

必要な長さは屋根裏の広さで変わります。今回のように、付いていても長さが足りていないことがありますので、屋根の工事の際にはあわせて確かめています。

屋根・外壁・雨漏りのこと、まずはご相談ください。

現地調査・お見積りは無料です。どんな小さなことでもお気軽に。

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